日本の未来を考えるブログ

人口のピークはとっくに過ぎて、生産人口がどんどん減っていく日本。これからどうなっていくのか考えるブログ

日本と世界の医療制度比較

「医療制度は国によって違う」ということをご存知ですか?実は日本の医療制度は世界保健機関(WHO)から最高の評価を受けるほど優れており、国によっては自分で受診する病院を選ぶことができない、公的保険に加入できるのは低所得者などの限られた人だけ、という所もあるのです。


医療制度はその形態によって大きく3つの種類に分けられます。1つめは「国営医療モデル」で、イギリスやスウェーデンなどがこのタイプです。財源は税金で、医療サービスの提供者は公的機関が中心となっています。2つめは「社会保険モデル」で、日本やドイツ、フランスなどがこのタイプです。財源は主に社会保険、医療サービスの提供者は公的機関と民間機関が混在しています。最後に3つめは「市場モデル」で、アメリカがこのタイプです。財源は民間保険で、医療サービスも民間機関が中心です。そして、同じタイプでも「医療費の自己負担率」、「医療機関の選択の自由度」などは違います。例えば同じ「社会保険モデル」のドイツでは、医療費の自己負担率は「1日当たり10ユーロ(年間28日が上限)」で、医療機関の選択は「診療所は自由だが病院は診療所からの紹介が必要」となっています。このように、国によって医療制度は大きく異なるのです。

 

医療における「フリーアクセス」とは、「患者が保険証1枚で医療機関を自由に選ぶことができる制度」のことです。例えば発熱があった時、私たちは近くのクリニックや病院、または罹り付けや評判の良い医療機関などを自分で選択して受診します。これは一見普通のことのように思えるのですが、国とその医療制度によっては受診する医療機関を自由に選ぶことができない場合もあります。この点で日本と最も対照的なイギリスでは、救急医療を除いて、原則地元の家庭医の紹介がなければ専門医や病院を受診することができません。ここで問題となっているのが「受診までの日数」です。家庭医の受診には予約が必要で、病院の紹介でまた予約となるわけですから、実際に受診するまでに日数が掛かってしまいます。このように、医療機関の選択が自由にできるということは、思った以上に利便性が高いのです。


 ただしフリーアクセスも良い面ばかりではありません。多くの患者は高機能の大病院を受診する傾向となり、重症度の高い患者に対して治療が思うようにできない、といった事態が発生します。そして、大病院では高機能の医療機器があるがゆえに同じ疾患で罹ったとしても検査が多い傾向にあるため、医療費の増大にもつながります。このような面から、「大病院への紹介状なしの受診では初診料が高い」など、フリーアクセスの制限につながる診療報酬改定も行われています。