日本の未来を考えるブログ

人口のピークはとっくに過ぎて、生産人口がどんどん減っていく日本。これからどうなっていくのか考えるブログ

日本の医療制度の基本

 日本の医療制度には大きく3つの特徴があり、それは「国民皆保険」、「フリーアクセス」、「出来高払い中心の診療報酬点数制」です。まず「国民皆保険」とは、「国民全員が『政府管掌保険』、『組合管掌保険』、『各種共済組合』、『国民健康保険』などのいずれかの公的な医療保険制度に加入する制度」のことで、病気やけがをした場合に軽い負担で医療サービスが受けられるというメリットがあります。次に「フリーアクセス」とは、「患者が医療機関を自由に選ぶことができる制度」のことで、対照的な制度を持つイギリスでは、家庭医と呼ばれる地元の医師の紹介がなければ病院を受診できないということを考えると、自由度の面からメリットがあります。そして最後に「出来高払い中心の診療報酬点数制」とは、「医療機関が医療行為を重ねるごとに収入も増える仕組みの診療報酬点数制」のことで、対照的な制度は疾患毎に診療報酬が定められる「包括払い方式」です。一般的に出来高払い方式の方が、きめ細やかな医療サービスを受けることができ、この面ではメリットがあります。


 しかし、近年平均寿命の延びや出生率の低下などによって高齢化が進むにつれ、医療費は年々増加傾向にあります。平成27年度の国民医療費は、41.5兆円となり、前年度に比べて約1.5兆円増加。今後も増え続けることが予想されるため、医療制度改革を含め、早急な対応が必要となっています。

 

国民皆保険」とは、「国民全員がいずれかの公的な医療保険制度に加入する制度」のことで、皆が保険料を支払うことでお互いの医療費を支え合うことを目的としています。国際的にはこのような状態を「UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、またはユニバーサル・ヘルス・ケア)」と呼び、この「UHC」は、「すべての人が、必要とする質の高い保健・医療サービスを、支払いの際に経済的な困難に苦しめられることなく確保している状態」のことを指しています。そして日本では、1961年に「UHC」を実現しました。


対して、例えばアメリカは公的医療保険への加入義務はなく、個人が民間保険に自分の意志で加入します。公的医療保険制度自体はありますが、加入できるのは高齢者や障害者、低所得者などと限定されています。そして民間の医療保険は保険料が高く、住んでいる州や保険の内容にもよりますが、平均的な家族プランで月600ドル以上掛かるという話です。中には保険料を払えず無保険となっている人もおり、その割合は2011年時点で15%となっているとのことです。このような点を踏まえると、「国民皆保険制度はより福祉性の高い制度である」、と言えるのではないでしょうか。