日本の未来を考えるブログ

人口のピークはとっくに過ぎて、生産人口がどんどん減っていく日本。これからどうなっていくのか考えるブログ

日本におけるグローバル教育の実例とは?

グローバル教育は理解できたが、どこから始めればよいのか?真似すべき事例はないのか?といった声はよく聞かれます。日本での導入はアメリカから遅れて入ってきたケースが多いので歴史はあまり長くないです。今回はそんな日本におけるグローバル教育の実例を紹介します。

 

(1) 日高高校(和歌山県)の事例
グローバル教育プログラムを導入するまでは地方の普通の高校であったが、地元の人口流出や教育レベル低下を危惧して創立100周年を機に「アジア高校生フォーラム」を企画・開催して、東南アジア圏の高校生を地元へ招き、国際交流イベントを実施。これが起爆剤となり、地域課題の解決のための文化研修と海外交流を基軸とした自己認識プログラムを実施して政府の「SGH(スーパーグローバルハイスクール)」の認定を受けている。

 

(2)共愛学園前橋国際大学群馬県)での事例
同校は群馬県の私立大学であるが、大学の教育プログラムの特色を出すために、学生向けに企業の海外拠点におけるインターンシップ・学生による児童(初等学年を中心)向けのグローバルワークショップ企画・中学生向け海外研修の引率実施・社会人と大学生による問題解決型プログラムの実施を導入した。大学生・児童・地域社会が世界を結ぶようなグローバル人材になるように共に学び合う仕組みを導入し、文科省「スーパーグローバル大学」へと認定された。

 

このように地域社会を見据えた取り組みや大学そのものを魅力的にするためのプログラムとしてグローバル教育が導入されているのです。それゆえ、年齢や所属は関係なくグローバル教育を享受できることができるのです。

 

では、日本にグローバル教育を普及させるための課題とは何でしょうか?

 

グローバル教育がグローバル化の中で時代の要請となりつつあることは分かりましたが、実際には普及できるのでしょうか?理想は分かるものの、実際の導入は難しいという声もたくさんあります。今回はそんなグローバル教育普及に立ちふさがる課題について解説します。

 

まず、実践的な教育プログラムの拡充が求められます。以下の事例では、最終学歴までの英語教育が役に立ったかどうかのアンケートですが、特に読む・書くについての実践面で役に立っていないというデータが示しているように、教条的な教育ではなく、実務や実際の生活で役立つ教育が求められていくでしょう。

 

www.sanno.ac.jp

 

そして、何より教育を受ける側の意識の改善がない限り、いくら枠組みを備えても無意味でしょう。こちらのデータでもグローバル意識について調査されていますが、実に新卒の60%が海外勤務を希望していない状態にあるのです。これでは実際に日本が海外の状況と変わらなくなってしまったらどうするのでしょうか?このようなグローバル化への健全な危機感を醸成することも求められるでしょう。

 

最後に、これからの日本の教育はどうなっていくのかを考えてみたいと思います。

 

少子高齢化、人口減少、グローバル化といった多層的な状況が現れていく中で、今後の日本の教育はどうなっていくのでしょうか?グローバルと日本という文脈から今後日本の教育で起こりうる変化を様々な議論をまとめつつ紹介します。

まず、起こりうる変化としては教育の二極化です。旧帝国大学早慶以上のトップ大学と偏差値の低い大学との教育レベルの区別が更に拡大していくことを指します。つまり、Globalで活躍する人とLocal経済圏で活躍する人と分かれていくという考え方でアカデミックかつグローバル教育の本丸はGlobal型大学に提供され、職業訓練のような実践的教育内容はLocal大学に集約されるという議論です。いわば分業体制に応じた教育体制を導入すべきだという考え方です。

 

参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2014/10/23/1352719_4.pdf

 

そして、二極化に加えて、教育においても激しいグローバル化の競争にさらされるでしょう。政府としても「留学生30万人計画」を立ち上げており、人口がただでさえ減少している日本経済と競争力に外国からの活力を求めて、日本をグローバル化しようとしているのです。

 

このような中で日本人同士の競争ではなく、日本人と外国籍の人々との競争が更に激しくなっていくでしょう。その中で生き残りができるような教育効果を得ることができなければ、教育格差として固定されてしまう事態(ベネッセの研究によると「階層」→「家庭環境・生活」→「学力」といった影響関係があることを示唆する結果が確認できています。)も予想されます。つまり、意識の差が格差として現れる危険性があるということです。